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物核「·」零 - プロローグ後編・終末

8月10日
読了時間: 3分

更新日:9月11日


プロローグ

後編・終末

 

[周波数] 243.0 MHz(緊急周波数)

[時刻] 災後7日目 07:32 UTC+9

[状態] 電力喪失、通信不安定

「……この信号を受信したすべての受信局は、応答を。こちら中央災害対応省。現在、全周波数帯にて日本全国へ、緊急救災放送を実施中」

「信じてください……。我々は、誰ひとり見捨てない。必ず……救援が届きます」

「本放送は一日三回、自動送信。互いに……情報の伝達を徹底してください……」


[チャンネル] GEO-427(静止軌道緊急通信)

[時刻] 災後13日目 20:00 UTC+9

[状態] 地球通信網崩壊、衛星機能大幅損傷

「こちら軌道ステーション TKS-9。第二避難拠点、応答願う」

「新たに七名の生き残りを確認……。生存者は日に日に減っている……。第三避難所の位置は確定。他地域は?」

「『漣漪(リップル)現象』は、いまだ世界各地で猛威を振るっている。観測高度は1〜3メートル」

「推定——人口の九割以上が消失……」

「……『あれ』は?」

「依然として東京都上空、高度三十キロ。座標に変化なし。そっちは?」

「最初の出現は長野。ただし、フォークランド(Falkland Islands)の『ゼロ』と違い、落下は確認されていない」

「つまり……自動で停止した、と?」

「槍ヶ岳上空で三十秒間停留。次に宇都宮市……五十万人が死亡」

「天災、ではない……?」

「断定はできない。データが不完全なんだ。アメリカとEUからの衛星データを待っている段階でね……状況は、そっちも分かってるだろ。ところで——そっちはどうだ?」

「軌道運行は維持している。だが燃料と機体の安定性が落ちてきている……そう長くは持たないかもしれない。川崎——母の消息が分かったら、必ず知らせてくれ!」

「前田、お前も……生き延びろ」


[J-Alert-AUTO]

[時刻] 災後21日目 03:00 UTC+9

[状態] 不明

「こちら内閣府防災担当。全周波数帯にて、無人自動連続放送を実施中」

「この放送を聞いている、すべての生存者たちへ」

「大都市には、絶対に近づかないでください。物資が存在する可能性はありますが、危険性が極めて高いと判断されます」

「閉鎖空間、防御構造を有する場所を維持し、外出を控えてください」

「火気の使用を避けること。争わないこと。刺激臭のある食品を摂取しないこと。体を、無臭に保つこと」

「就寝前に、自分の名前を書き、起床後、三度、静かに唱えてください。仲間が目覚めた場合、必ず名前を言えるか確認してください」

「遺体を処理する際は、血液および匂いの除去に努めてください。失敗した場合は、速やかにその場を離れてください」

「使用可能な装備は確保。必要に応じて、自衛行動を」

「黄昏時および夜間の外出は禁止。日没前に避難所へ戻り、扉と窓の異常を確認してください。夜間、窓辺に近づかないこと。いかなる音にも、決して応答しないこと」

「『彼ら』と視線を合わせない。匂いを残さない。いかなる接触も禁止。理解しようとしない。呼びかけない。興味を引かない」

「戦わない。『彼ら』に明確な弱点は確認されていません。遭遇時は——退避。それが唯一の生存行動です」

「現在確認されている有効手段は、『超酸(ちょうさん)』。……ただし、使用は推奨されません」

「……決して、殺そうとしないでください」

「決して、殺そうとしないでください」

「決して、殺そうとしないでください」

「国民の皆さん、どうか信じてください。日本政府は、あなたを見捨てません。必ず——救援を行います」

「……どうか、生き延びてください……。救援を待って……待って……」


災後第135日。

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