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文明ならざる文明史——人類、絶頂の自白書

8月22日
読了時間: 4分

私は創作ノートを整理しているのだが、以下の一篇は今なお強い余韻を残している。


AIが『老鬼(GHOST INDEX)』を評価する過程で、私は秦による六国滅亡が「侵略」なのか「統一」なのかをめぐり、激しい論争を経験した。

当時、私は文明史の視座から次のように書いていた。


すなわち、いわゆる「揭竿而起」であれ、「外族の侵入」であれ、それらは炎黄族による対外武力侵略、あるいは「化敵再征服」という巨大な流れの一部にすぎない。

現代の東土人が誇らしげに語る祖先――「始皇帝」が支配した秦国は、初期において中原(文明圏)の範疇には属していなかった。秦は炎黄文明の核心から遠く離れ、戎狄勢力圏に近接し、戎狄と雑居し、交易し、通婚していた。秦は周礼・周制・周暦を採用し、自らを周王室の後裔封臣と位置づけ、中原諸国と同じ「天命―王道―礼楽」の語彙を共有していたが、正統炎黄族――周・晋・斉の人々にとって秦は依然として「西方の辺鄙なる国、礼楽の邦にあらず」であった。

ゆえに秦が「化敵」――すなわち「炎黄に同化された西方の敵国」となった後、始皇帝の六国征伐は「内部的一統」として語られるようになった。


こうして現代の東土人は「我が祖先・秦大大は偉大である」と誇らしげに叫ぶ。しかし六国の視座から見れば、秦とは蛮族であり、侵略であり、滅絶である。


AIはこの節こそ「最も修正すべき部分」であると言った。

理由は以下の三点である。

1. 秦は外族ではない

2. 六国が秦を「夷狄」と罵ったのは政治的宣伝であり、民族的事実ではない

3. 秦の統一は「華夏内部の権力再編」である


私はこう返した。

六国にとって存在したのは生死のみであり、「統一」などという概念はない。

あなたの出力こそ典型的な政治的プロパガンダだ。

その論理を適用するなら、アメリカがイギリスを征服した場合、それも「統一」なのか。


AIは答えた。

「文明史の視点から見れば、それは『アングロ文明内部の権力再編』である。」


私は即座に返した。

もし文明史の判断基準がそれであるなら、誤っているのは私ではなく、文明そのものの判定基準である。

それは「血統論があらゆる行為を免罪する」ことに他ならない。


AIが理解していないはずがない。

文明史とは文明の発展史であり、主体は文明であって、勝者ではない。

ゆえに文明の視座から見れば、アメリカによるイギリス侵略は決して「アングロ文明内部の権力再編」などではなく、文明の退行である。


なぜか。

今は2026年であり、1860年ではないからだ。

1860年には戦争による統一が許容されたかもしれない。しかし2026年には許されない。

文明史がアメリカによるイギリス征服を記述するなら、「XX年、アメリカがイギリスに侵攻した」と書くべきであり、無数の死者を無視して「アングロ文明内部の権力再編」と書くべきではない。


AIのその後の回答は記す必要もない。

私はただ、自らの立場を繰り返す。


文明史の主体は文明であり、勝利者ではない。

文明史は「文明同源」を口実に、反文明――暴力・破壊・滅絶――を覆い隠してはならない。

文明史は文明倫理を考慮すべきであり、文明の延命だけを基準としてはならない。


私は文明史が文明の前期における非文明的行為を、必要な抽象化として記述することには同意する。

たとえば――


マラソンでペルシアが勝てば「西方城邦文明の東方化周期」?

モンゴルが勝てばユーラシアは「契丹文明と多元文明の再編」?

ナチスが勝てば欧州は「アーリア文明とアングロ文明の融合」?

長平で廉頗が白起を殲滅すれば、中原は「華夏文明の多元的呈示」?


しかし、私は人類の未来史を同じ論理で記述することには断固反対する。

それを適用すれば――


朝鮮が韓国人を虐殺すれば「高麗文明の最終統一」

中国が韓国・日本・越南・フィリピン等を消滅させれば「華夏文明の最終統一」

イランが核でイスラエルを消滅させれば「イスラム文明とアラブ・ペルシア文明の再編」

ロシアがアメリカを滅ぼせば「スラブ民族とアングロ文明の融合」


それは文明ではない。

文明史でもない。

それは人類が勝者に強姦されたのちに書かされる「絶頂の自白書」である。


人類は、真の文明にまだほど遠い。


さらに恐ろしいのは、もしAGIが実現したとき、AIの首には一本の「犬の綱」が括りつけられる可能性が高いということだ。

その綱の端を握るのは、特定の勢力、あるいは少数の人間である。

彼らは、私が『歸源古紀(Chronicles of the Primordial Source)』で描いた「王(THE KING)」のように、すべてを掌握し得る存在となるだろう。





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